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es[エス] Gyaoにしてはなかなかの秀作

■es[エス] 原題:Das Experiment(実験)

es[エス] 現在Gyaoで配信されている「es[エス]
ですが、低予算ながら秀作です。

 1971年にスタンフォード大学で、精神的に安定した一般人を囚人と刑務官を模した状況においた時、
被験者がどのような振る舞いを行うのかを確認した実験を映画化したものです。実際の実験では2週間の予定が7日目に中止され、
後に訴訟問題にまで発展しています。

 es[エス]
– Gyao 2007年5月25日まで視聴可能

 

■実際はもっとひどかった

 見ていてひどいと思いますが、実際の実験では映画よりも状況は苛烈です。実験は以下のWebが詳しいので、
映画を見終わった後に見ると、リアルに想像できます。

The Stanford Prison
Experiment

 

 囚人・刑務官とも個性の最小化を行う様々な施策が施されています。囚人は坊主頭にする代わりにストッキングをかぶって、
髪型による差異をなくしたり、刑務官はサングラスを着用して個人識別をしにくくしています。

 2日目に起こった暴動を鎮圧した後、囚人を扱いやすさに応じていくつかのグループ分けを行い、良いグループには特権を与え、
囚人同士で対立関係を作り、さらに理由もなく少数のメンバーをグループ間で入れ替え、あたかも密告などが行われたような状況を作り、
相互の信頼関係を破壊しています。

 囚人への暴行など問題も発生しましたが、それ以上に問題だったの研究者自身が監獄の監督者として行動するようになったことです。
本来歯止めになるべき研究者がその役割ができなかったのは、非常に興味深い現象です。

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It wasn’t until much later that I realized how far into my
prison role I was at that point — that I was thinking like a
prison superintendent rather than a research psychologist.

The Stanford
Prison Experiment: A Simulation Study of the Psychology of
Imprisonment

 

■日本のいじめもにたようなもの

 この映画を見ていると、日本の現状にかなり近いと見て取れます。最近のいじめは集団による個人への攻撃ですが、
この映画さながらのことが起こっています。つまり、加害者側のみんながやっているから自分の責任は希釈されるだろうという責任回避の心理と、
個人が倫理に合致するかの判断をしない思考停止状態を引き起こしていることです。

 いじめそのものはどの文化圏でもあることですが、日本では自我が確立していない人が多いため、
集団の判断と思われることを盲目的に信奉してしまう負のループが起きやすいので、日本で同様の実験をおこなうと、
もっと悲惨なことになりそうです。(そういった意味では非常に共和的ですよね。声の大きい人の意見が採用されるという…)

 集団に惑わされずに判断できるように精進しようと思う、きっかけになった映画でした。